海外

海外の広告・消費者規制の歴史。
米国 Better Business Bureau、FTC、FDA など ──
日本の制度設計に影響した源流を辿ります。

景表法·読了 13 分

おまけ禁止令、1932年 — ドイツが70年動かなかった理由、2001年に動いた理由

1932年3月、ワイマール共和国末期のベルリンで「経済保護のための緊急令」が出された。その一節に、小売店が商品におまけを付けることをほぼ全面禁止する条項が含まれていた。ナチス期、戦後西ドイツ、東西統一を経て、この景品禁止令は70年近く生き続けた。動かしたのは内側の力ではなく、EUの e-commerce 指令という外圧だった。隣の米国はそもそも景品禁止を持たず、別の法体系で同じ問題に向き合った。日本の景表法はこの両端の中間に座っている。

景表法·読了 18 分

FTC、1914年 — 推薦広告ガイドへの 110年

1914年 9月 26日、ウッドロウ・ウィルソンが Federal Trade Commission Act に署名し、米国に独立規制機関 FTC が生まれた。当初の役割は反トラスト ── 巨大企業の不公正な競争方法を取り締まることだった。 1931年のラレダム事件最高裁判決で「消費者は守れない」と判定され、1938年 Wheeler-Lea 法で消費者保護権限が追加。1972年に推薦広告ガイド (16 CFR Part 255) が制定され、1980年・2009年・2023年と改訂を重ねた。日本の景表法 (1962) と ステマ規制 (2023) の参照源を、1914年から辿る 110年史。

景表法·読了 9 分

景表法が届かない広告 ── なりすまし、AI レビュー、そして規制の振り子(2024–2026)

画面の中で、前澤友作が投資をすすめていた。声も、顔も、本人にしか見えない。だが彼は、その言葉を一度も口にしていない。AI が合成した「実在しない本人」だった。 2024年、SNS 型投資詐欺の被害は871億円に達した。前年の3倍。だが、この広告に景品表示法はほとんど手が届かない。62年間「事業者の表示」を裁いてきた法律の、射程の外側で、AI 偽広告は爆発していた。

海外·読了 11 分

Better Business Bureau、1912年 — Truth in Advertising が生まれたダラスの夏

1909年10月、米国チャタヌーガの寒い朝、連邦保安官がアトランタから来た貨車を待ち受けた。押収された荷物は、コカ・コーラのシロップ40樽と20樽。米国広告史を変える事件の幕開けだった。 3年後、1912年のダラス。米国の広告業界自身が「広告は嘘をつかない」と誓った。FTC が生まれる2年前のことである。Better Business Bureau ── 世界最古の広告自主規制機関は、この夏に始まった。

海外·読了 32 分

110億ドルの逆張り、2011年 — ギリアドはなぜ「狂気」と呼ばれた賭けに勝てたのか

2011年11月21日、ギリアドはファーマセットを110億ドルで買うと発表した。 時価総額の3分の1を1社買収に投じる、製薬史上稀な賭け。投資家は「狂気」と評し、アナリストは「払いすぎ」と評した。だが2014年、Gileadはたった1年で買収費用を回収する。製薬M&A史最高傑作と呼ばれる判断の解剖。